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EDSの国際標準となる新しい型分類


2017年3月にEDSの国際標準となる新しい型分類が EDSのInternational Consortiumにより発表されました。
その概要について、信州大学医学部附属病院 遺伝子医療研究センター 古庄知己先生から 情報をいただきましたのでご紹介いたします。
1.現在の型分類からの主な変更内容

・現在の7分類(新型の古庄型を含む)から、13分類に増えました。

 主な型の新しい分類
  (現在の分類)            (新しい分類) 
    ・古典型     → ・古典型 Classical EDS (cEDS)
 ・血管型     → ・血管型 Vascular EDS (vEDS)
 ・関節型           → ・過可動型 Hypermobile EDS (hEDS)
 ・関節型(テネイシン欠損)  →   ・類古典型 Classical-like EDS (clEDS)
 ・新型(古庄型)     → ・筋拘縮型 Musculocontractural EDS (mcEDS)

・関節過可動型の一つである テネイシン欠損よるものが、類古典型として単独の分類となりました。
・新型(古庄型)が筋拘縮型として新しく分類されました。
・関節過可動型以外の全ての型で、コラーゲン及び原因遺伝子が明確化されています。

・古典型の確定診断は、遺伝子診断によるものとされています。
・関節型は、臨床診断の基準が明確化されました。
 (主な内容)
   ・原因となるコラーゲン及び遺伝子は不明。
   ・下記の臨床による診断基準を適用。
     診断基準 1. 全身の関節過可動(Beightonスコアによる判定)
     診断基準 2. 以下のA-Cから2つ以上に該当。
      A. 一般的な結合組織症状(12の項目中5項目以上に該当)
      B. 家族歴
      C.筋骨格系の合併症(少なくとも1項目が必須)
     診断基準 3. 他の必要条件
         *上記の新しい診断基準を適用することにより、現行の診断基準から      より客観的で明確な内容となります。

・なお、新しい型分類や診断基準は、日本国内の各医療機関ですぐに適用されるものではありません。
・医療機関への周知や対応など課題も多いと思われ、現場で混乱が起きない様に慎重に対応することが必要となります。
・患者会としては、新基準の導入について研究班や厚労省の動きなど状況を把握しながら、情報発信を行い、対応を考えていきたいと思います。


EDSの新しい病型分類一覧

病型名 略語 遺伝形式 遺伝学的基盤 タンパク質
古典型EDS
Classical EDS
cEDS AD 大多数:COL5A1, COL5A2
稀:COL1A1
c.934C>T, p.Arg312Cys
Ⅴ型コラーゲン
Ⅰ型コラーゲ
類古典型EDS
Classical-like EDS
clEDS AR TNXB テネイシンXB
心臓弁型EDS
Cardiac-valvular EDS
cvEDS AR COL1A2
COL1A2のNMDを来す変異が両アリルに存在、Ⅰ型プロコラーゲンα2鎖の欠損
Ⅰ型コラーゲン
血管型EDS
Vascular EDS
vEDS AD 大多数:COL3A1
稀:COL1A1
c.934C>T, p.Arg312Cys
c.1720C>T, p.Arg574Cys
c.3227C>T, p,Arg1093Cys
Ⅲ型コラーゲン
Ⅰ型コラーゲン
関節過可動型EDS
Hypermobility EDS
hEDS AD 不明 不明
多発関節弛緩型EDS
Arthrochalasis EDS
aEDS AD COL1A1, COL1A2 Ⅰ型コラーゲン
皮膚脆弱型EDS
Dermatosparaxis EDS
dEDS AR ADAMTS2 ADAMTS-2
後側彎型EDS
Kyphoscoliosis EDS
kEDS AR PLOD1
FKBP14
LH1
FKBP14?
脆弱角膜症候群
Brittle Cornea syndrome
BCS AR ZNF469
PRDM5
ZNF469
PRDM5
脊椎異形成型EDS
Spondylodysplastic EDS
spEDS AR B4GALT7
B4GALT6
SLC39A13
β4GalT7
β4GalT6
ZIP13
筋拘縮型EDS
Musculocontractural EDS
mcEDS AR CHST14
DSE
D4ST1
DSE
ミオパチー型EDS
Myopathic EDS
mEDS ADまたはAR COL12A1 ⅩⅡ型コラーゲン
歯周型EDS
Periodontal EDS
pEDS AD C1R C1S C1r C1s

病型

古典型EDS <Classical EDS (cEDS)>
遺伝形式:常染色体優性遺伝

【大基準】
  1. 皮膚過伸展性および萎縮性瘢痕
  2. 全身関節過可動
【小基準】
  1. 易出血性
  2. やわらかく、生パンのこね粉のような皮膚
  3. 皮膚脆弱性(または外傷による裂傷)
  4. モルスクム偽腫瘍(肘や膝のような圧迫される部位の瘢痕で認められる塊状の病変)
  5. 皮下球状体(前腕や下腿前面の皮下組織の骨突起部に認められる小さく、固い小結節状で可動性のある球状塊)
  6. ヘルニア(またはその既往)
  7. 内眼角贅皮
  8. 関節過可動の合併症(捻挫、脱臼/亜脱臼、疼痛、柔軟な扁平足等)
  9. 臨床診断基準を満たす1度近親の家族歴
【古典型EDSを示唆する最小診断基準】
大基準のうち、皮膚過伸展性および萎縮性瘢痕 加えて、もう一つの大基準である全身関節過可動、 および/または、少なくとも3つの小基準
最終診断には分子遺伝学的検査が必須

>90%、COL5A1またはCOL5A2
まれに、COL1A1 c.934C>T; p.Arg312Cys
top

類古典型EDS <Classical-like EDS (clEDS)>(旧関節型 テネイシン欠損)
遺伝形式:常染色体劣性遺伝

【大基準】
  1. ベルベット様の感触を伴うが、萎縮性瘢痕を伴わない皮膚過伸展性
  2. 反復性脱臼(最も頻度が高いのは肩と足首)を伴うこともあれば、伴わないこともある全身関節過可動
  3. 易出血性(内出血しやすい)
【小基準】
  1. 足の変形:幅広い/肉付きのよい足先、過剰皮膚を伴った単趾症、扁平足、外反母趾、圧迫性丘疹(起立時に踵の正中側方に、筋膜から真皮に向けた脂肪塊がヘルニアを起こしたもの。小さいが痛みを伴う場合もある)
  2. 心不全を伴わない下肢の浮腫
  3. 軽度の遠位および近位筋力低下
  4. 軸索型ポリニューロパチー
  5. 手足の筋萎縮
  6. 早老症様の手、マレット指(伸筋腱の異常により、指の遠位指節関節が伸ばせなくなったもの)、屈指症、単指症
  7. 膣/子宮/直腸脱
【類古典型EDSを示唆する最小限の診断基準】
上記3つの大基準および常染色体劣性遺伝に矛盾しない家族歴
最終診断には分子遺伝学的検査が必須
TNXB
top

心臓弁型EDS <Cardiac-Valvular EDS (cvEDS)>
遺伝形式:常染色体劣性遺伝

【大基準】
  1. 重度で進行性の心臓弁に関する問題(大動脈弁、僧帽弁)
  2. 皮膚過伸展性、萎縮性瘢痕、薄い皮膚、易出血性
  3. 関節過可動(全身性、または、小関節に限局)
【小基準】
  1. 鼠径ヘルニア
  2. 胸郭変形(特に漏斗胸)
  3. 関節脱臼
  4. 足変形(扁平足、外反扁平足、外反母趾)
【心臓弁型EDSを示唆する最小限の診断基準】
大基準の1(重度で進行性の心臓弁に関する問題)、 および、常染色体劣性遺伝に矛盾しない家族歴 加えて、他の1つの大基準および/または、少なくとも2つの小基準
最終診断には分子遺伝学的検査が必須

Ⅰ型プロコラーゲンα2鎖が完全に欠損するCOL1A2の両アリル性変異(NMDを来す)
top

血管型EDS <Vascular EDS (vEDS)>
遺伝形式:常染色体優性遺伝

【大基準】
  1. COL3A1変異が確認された血管型EDSの家族歴
  2. 若年性動脈破裂
  3. 憩室やその他の腸管異常がない状態での特発性S状結腸破裂
  4. 帝王切開歴および/または分娩前後の重度会陰裂傷がない状態での第3トリメスターにおける子宮破裂
  5. 外傷がない状態での頸動脈-海綿静脈洞瘻
【小基準】
  1. 外傷がない状態での易出血性、および/または、頬や背部といった通常見られない場所の内出血
  2. 薄く、静脈が透見される皮膚
  3. 顔貌上の特徴
  4. 特発性気胸
  5. 末端早老症
  6. 先天性内反足
  7. 先天性股関節脱臼
  8. 小関節の過可動
  9. 腱および筋の破裂
  10. 円錐角膜
  11. 歯肉後退および脆弱性
  12. 早期発症静脈瘤(女性であれば30歳前、出産経験ない状態での発症)
【血管型EDSを示唆する最小限の診断基準】
血管型EDSの家族歴、40歳前の動脈破裂または解離、原因不明のS状結腸破裂、または、特発性気胸が、 他の血管型EDSの特徴とともに見出されたら、診断のための遺伝学的検査を行う。テロ接合性のCOL3A1変異

稀な例外として
COL1A1における特定部位のアルギニンからシステインへの変異
c.934C>T, p.Arg312Cys
c.1720C>T, p.Arg574Cys
c.3277C>T, p.Arg1093Cys
top

過可動型EDS <Hypermobile EDS (hEDS)>(旧関節型)
遺伝形式:常染色体優性遺伝

分子遺伝学的基盤:不明

【臨床診断】
基準1および基準2および基準3

基準1:全身関節過可動(Generalized Joint Hypermobility:GJH)
Beightonスコア:思春期前では6以上、思春期男性および50までの女性では5以上、50歳以上では4以上

基準2:以下の症状(A~C)を2つ以上
AおよびB
AおよびC
BおよびC
AおよびBおよびC

症状A:より全身的な結合組織疾患を示す系統的症状群(合計5項目が必須)
  1. 通常ではない柔らかさを持った、または、ベルベット状の皮膚
  2. 軽度の皮膚過伸展性
  3. 説明のつかない皮膚線条、例えば青春期(思春期?成人期)、男性または思春期前の女性、における背部、鼠径部、大腿部、乳房および/または腹部の広い線条や赤い線条のようなもの(明らかな体脂肪や体重の増加や減少に関する病歴・自然歴・経過がない)。
  4. 踵における両側の圧迫性丘疹。
  5. 反復性または多発性の腹壁ヘルニア(臍、鼠径、すね等)。
  6. 2か所以上の萎縮性瘢痕があるが、古典型EDSに見られるような真に紙のような、および/または、血鉄素様の瘢痕はない。
  7. 病的肥満、あるいは、他の背景となる医学的状態の病歴がない状況での、小児、男性、出産経験のない女性における骨盤臓器脱、直腸脱、および/または、子宮脱。
  8. 歯の叢生、および、高くまたは狭い口蓋。
  9. 以下の1つ以上の所見で示されるくも状指、(i) 両側の手首サイン(Steinbergサイン)陽性、(ii) 両側の親指サイン(Walkerサイン)陽性。
  10. 腕の長さ(arm span)/身長比≧1.05。
  11. 厳密な心エコー基準に基づく軽度以上の僧帽弁逸脱。
  12. Z-スコア>+2の大動脈基部拡張。

症状B:本診断基準を独立に満たす1人以上の一度近親者の罹患を伴う家族歴

症状C:筋骨格系の合併症(少なくとも1項目が必須)
  1. 毎日繰り返され、最低3か月以上持続する、2つ以上の四肢筋骨格系の疼痛。
  2. 3か月以上持続する慢性で広範囲な疼痛。
  3. 外傷のない状態での関節脱臼の反復、または、明らかな関節の不安定さ(aまたはb)。
    1. 同一関節における3回以上の非外傷性脱臼、または、2つの異なる関節において異なる時に生じた2回以上の非外傷性脱臼。
    2. 外傷とは無関係な2つ以上の部位における、医学的に確定した関節不安定性。
基準3:以下全ての項目を満たす。
  1. 異常な皮膚脆弱性がないこと。あれば、他病型を考慮する。
  2. 自己免疫性リウマチ性疾患を含め、他の先天性または後天性の結合組織疾患を否定すること。後天性の結合組織疾患(ループス、リウマチ性関節炎など)の患者において、過可動型EDSも持っているとの診断をするには基準2の症状Aと症状Bを必要とする。この場合、基準2の症状C(慢性疼痛および/または不安定性)は数えられない。
  3. 筋緊張低下および/または結合組織弛緩による関節過可動性をも含む鑑別診断を除外すること。例えば、神経筋疾患(ミオパチー型EDS、ベツレム型ミオパチーなど)、他の遺伝性結合組織疾患(他のEDS病型、ロイス・ディーツ症候群、マルファン症候群など)、および骨系統疾患(骨形成不全症など)など。これらの疾患の除外は、経過、身体所見、および/または、分子遺伝学的検査に基づく。

コメント:
過可動型EDSにおいて、他にも多くの症状がみられるが、その大部分は、診断基準に取り入れるには感度・特異度ともに十分でない。こうした症状には、睡眠障害、起立性低血圧(起立性調節障害)、機能性胃腸疾患、自律神経失調症、不安、うつなどが含まれる。これらの症状は、関節症状よりも、身体の衰弱を来たしうるものであり、しばしば機能性や生活の質を障害し、患者を見出した際に確認すべきものである。これらの症状は診断基準には含まれないが、それら系統的症状があれば過可動型EDSの鑑別を急ぎ考慮すべきである。今後の研究により、こうした症状と過可動型EDSとの関係を検証すること、サブグループまたはサブ表現型として記載していくこと、そして、過可動型EDSの症状に対するエビデンスに基づくマネジメントを確立することが必要である。
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多発関節弛緩型EDS <Arthrochalasia type EDS (aEDS)>
遺伝形式:常染色体優性遺伝

【大基準】
  1. 先天性両側股関節脱臼
  2. 複数回の脱臼/亜脱臼を伴う重度の全身性関節過可動
  3. 皮膚過伸展性
【小基準】
  1. 筋緊張低下
  2. 後側彎
  3. X線で診断された軽度骨密度低下
  4. 萎縮性瘢痕を含む組織脆弱性
  5. 皮膚の易出血性
【多発関節弛緩型EDSを示唆する最小限の診断基準】
大基準の1、先天性両側股関節脱臼 加えて大基準の3、皮膚過伸展性または、大基準の2、全身関節過可動、および、少なくとも2つの小基準

最終診断には分子遺伝学的検査が必須
エクソン6の部分全体または部分的な欠失を来すヘテロ接合性のCOL1A1、COL1A2変異
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皮膚脆弱型EDS <Dermatosparaxis EDS (dEDS)>
遺伝形式:常染色体劣性遺伝

【大基準】
  1. 先天性または出生後の皮膚裂傷を伴う顕著な皮膚脆弱性
  2. 出生時または乳児早期に明らか、または、その後の小児期に生じる顔貌上の特徴
  3. 手首や足首には皮膚の折れ込みを生じるような、弛緩した、ほとんどたるんだ皮膚
  4. 手掌の皺が増加
  5. 重度の易出血性を呈し、皮下血腫・出血の危険がある
  6. 臍ヘルニア
  7. 出生後の成長障害
  8. 短い四肢、手足
  9. 結合組織脆弱性による出生前後の合併症
【小基準】
  1. やわらかく、生パンのこね粉のような皮膚
  2. 皮膚の過伸展性
  3. 萎縮性瘢痕
  4. 全身性関節過可動
  5. 臓器脆弱性に関連した合併症(膀胱破裂、横隔膜破裂、直腸脱)
  6. 運動発達遅滞
  7. 骨量減少
  8. 多毛
  9. 歯の異常
  10. 屈折異常(近視、乱視)
  11. 斜視
【皮膚脆弱型EDSを示唆する最小限の診断基準】
大基準1、顕著な皮膚脆弱性、および、大基準2、顔貌上の特徴 加えて、他の1つの大基準および/または、3つの小基準

最終診断には遺伝学的検査が必須
両アリル性のADAMTS2変異
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後側彎型EDS <Kyphoscoliosis EDS (kEDS)>
遺伝形式:常染色体劣性遺伝

【大基準】
  1. 先天性筋緊張低下
  2. 先天性または早期発症後側彎(進行性または非進行性)
  3. 脱臼/亜脱臼を伴う全身性関節過可動(特に肩、股、膝)
【小基準】
  1. 皮膚過伸展性
  2. 皮膚易出血性
  3. 中等サイズの動脈破裂/瘤
  4. 骨量減少/骨粗鬆症
  5. 青色強膜
  6. ヘルニア(臍、鼠径)
  7. 胸郭変形
  8. マルファン症候群様体型
  9. 先天性内反足
  10. 屈折異常(近視、遠視)
【遺伝子特異的な小基準】
1.PLOD1
① 皮膚脆弱性(内出血しやすい、裂けやすい、創傷治癒不良、広い萎縮性瘢痕)
② 強膜および眼球脆弱性、破裂
③ 小角膜
④ 顔貌上の特徴

2.FKBP14
① 先天性聴力障害(感音性、伝音性、混合性)
② 毛包性角化症
③ 筋萎縮
④ 膀胱憩室

【後側彎型EDSを示唆する最小限の診断基準】
大基準1、先天性筋緊張低下、および、大基準2、先天性または早期発症後側彎 加えて、大基準3、全身性関節過可動および/または、3つの小基準(遺伝子特異的でない項目、または、特異的な項目)

最終診断には遺伝学的検査が必須である。
大多数、両アリル性のPLOD1変異
両アリル性のFKBP14変異
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脆弱角膜症候群 <Brittle Cornea Syndrome (BCS)>
遺伝形式:常染色体劣性遺伝

【大基準】
  1. 薄い角膜、破裂することも、しないこともある(角膜中心部の厚さはしばしば<400μm)
  2. 早期発症進行性円錐角膜
  3. 早期発症進行性球状角膜
  4. 青色強膜
【小基準】
  1. 破裂の既往としての角膜摘出、または、角膜瘢痕
  2. 角膜間質の進行性欠損、特に角膜中心部
  3. 強度近視、眼軸長は正常または中等度増加
  4. 網膜剥離
  5. 聾、しばしば伝音性・感音性両方の要素を有する混合性、進行性、しばしば高音部の方が低下(純音聴力検査)
  6. 張力に乏しい鼓膜
  7. 股関節の異形成
  8. 乳児期の筋緊張低下、ある場合も軽度
  9. 側彎
  10. 細長い手指
  11. 遠位関節の過可動
  12. 扁平足、外反母趾
  13. 手指の軽度拘縮(特に第5指)
  14. 柔らかく、ベルベット状の皮膚、(薄く)透ける皮膚
【脆弱角膜症候群を示唆する最小限の診断基準】
大基準1、薄い角膜、破裂することも、しないこともある(角膜中心部の厚さはしばしば<100μm) 加えて、少なくとも他の1つの大基準および/または、他の小基準

最終診断には遺伝学的検査が必須である。
両アリル性ZNF469変異
両アリル性PRDM5変異
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脊椎異形成型EDS <Spondylodysplastic EDS (spEDS)>
遺伝形式:常染色体劣性遺伝

【大基準】
  1. 低身長(小児期に顕著)
  2. 筋緊張低下(先天性重症から晩期発症軽症まで)
  3. 四肢彎曲
【小基準】
  1. 皮膚過伸展性、やわらかく、生パンのこね粉のような皮膚、薄く透けた皮膚
  2. 扁平足
  3. 運動発達遅滞
  4. 骨量低下
  5. 認知発達遅滞

【遺伝子特異的小基準】
1.B4GALT7
① 橈尺骨癒合
② 両側肘関節拘縮または肘関節可動域制限
③ 全身性関節過可動
④ 手掌の単一屈曲線
⑤ 顔貌上の特徴
⑥ 重度の遠視
⑦ 角膜混濁

2.B3GALT6
① 後側彎(先天性または早期発症、進行性)
② 関節過可動、全身性または遠位関節に限局、脱臼を伴う
③ 関節拘縮(先天性または進行性)(特に手)
④ 手指の特徴(細長い、先細り、へら状、幅広い末節を伴う)
⑤ 先天性内反足
⑥ 顔貌上の特徴
⑦ 歯の脱臼、異形成
⑧ 特徴的X線所見
⑨ 特発性の多発骨折を伴う骨粗鬆症
⑩ 上行大動脈瘤
⑪ 肺低形成、拘束性肺疾患

3.SLC39A13
① 青色強膜を伴い突出した眼
② 細かい手掌の皺
③ 母指球筋萎縮、先細りの手指
④ 遠位関節の過可動
⑤ 特徴的X線所見

【脊椎異形成型EDSを示唆する最小限の診断基準】
大基準1、低身長、および、大基準2、筋緊張低下 加えて、特徴的X線所見および他の少なくとも3つの小基準(遺伝子非特異的または特異的)

最終診断には遺伝学的検査が必須である。
両アリル性B4GALT7変異
両アリル性B3GALT6変異
両アリル性SLC39A13変異
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筋拘縮型EDS <Musculocontractural EDS (mcEDS)(旧新型 古庄型>
遺伝形式:常染色体劣性遺伝

【大基準】
  1. 先天性多発関節拘縮、特に母指の内転・屈曲拘縮および/または内反足
  2. 頭蓋顔面の特徴、出生時または乳児早期に明らか
  3. 特徴的皮膚所見、過伸展性、易出血性、萎縮性瘢痕を伴う脆弱性、手掌の過剰な皺
【小基準】
  1. 反復性/慢性脱臼
  2. 胸郭変形(平坦、漏斗胸)
  3. 脊椎変形(側彎、後側彎)
  4. 独特な手指の形態(先細り、細長い、円筒状)
  5. 進行性足変形(外反足、扁平足、凹足)
  6. 巨大皮下血腫
  7. 慢性便秘
  8. 結腸憩室
  9. 気胸/血気胸
  10. 腎結石/膀胱結石
  11. 水腎症
  12. 男児の停留精巣
  13. 斜視
  14. 屈折異常(近視、乱視)
  15. 緑内障/眼圧上昇

【筋拘縮型EDSを示唆する最小限の診断基準】
出生時または乳児早期、大基準1、先天性多発関節拘縮、および、2、頭蓋顔面の特徴
思春期から成人期、大基準1、先天性多発関節拘縮、および、3、特徴的皮膚所見

最終診断には遺伝学的検査が必須である。
両アリル性のCHST14変異
両アリル性のDSE変異
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ミオパチー型EDS <Myopathic EDS (mEDS)>
遺伝形式:常染色体優性または劣性遺伝

【大基準】
  1. 先天性筋緊張低下、および/または、筋萎縮、年齢に伴い改善
  2. 近位関節拘縮(膝、股、肘)
  3. 遠位関節過可動
【小基準】
  1. やわらかく、生パンのこね粉のような皮膚
  2. 萎縮性瘢痕
  3. 運動発達遅滞
  4. 筋生検でミオパチー所見

【ミオパチー型EDSを示唆する最小限の診断基準】
大基準1、年齢とともに改善する先天性筋緊張低下 加えて、他の1つの大基準および/または、3つの小基準

最終診断には遺伝学的検査が必須である。
ヘテロ接合性または両アリル性のCOL12A1変異
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歯周型EDS <Periodontal EDS (pEDS)>
遺伝形式:常染色体優性遺伝

【大基準】
  1. 早期発症(小児期または思春期)の重度かつ難治性の歯周炎
  2. 歯肉欠損
  3. 脛骨前面斑
  4. 家族歴、1度近親者の罹患(臨床的診断基準を満たす)
【小基準】
  1. 易出血性
  2. 関節過可動、ほとんどが遠位関節
  3. 皮膚過伸展性および脆弱性、異常な瘢痕形成(広く、萎縮性)
  4. 感染の頻度増加
  5. ヘルニア
  6. マルファン症候群様体型
  7. 末端早老症
  8. 血管が目立つ

【歯周型EDSを示唆する最小限の診断基準】
大基準1、早期発症(小児期または思春期)の重度かつ難治性の歯周炎、または、大基準2、歯肉欠損 加えて、少なくとも他の2つの大基準と1つの小基準

最終診断には遺伝学的検査が必須である。
ヘテロ接合性のC1R変異
ヘテロ接合性のC1S変異
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治療法
 古典型における皮膚、関節のトラブルに対しては、激しい運動を控えることやサポーターを装着するなどの予防が有用である。
 皮膚裂傷に対しては、慎重な縫合を要する。
 関節可動性亢進型においては、関節を保護するリハビリテーションや補装具の使用、また疼痛緩和のための鎮痛薬の投与を行う。
 血管型においては、定期的な動脈病変のスクリーニングおよびトラブル発症時の慎重な評価と治療(できる限り保存的に、進行性の場合には血管内治療を考慮)、また最近β遮断薬(セリプロロール)の有効性が報告された。
腸管破裂の発症時には、迅速な手術が必要である。
【参考】  

難病情報センターホームページ 難治性疾患研究班情報(研究奨励分野)
エーラスダンロス症候群(平成23年度)
http://www.nanbyou.or.jp/entry/2427  (2013/ 2/21アクセス)
 


関節可動亢進型 【 過剰運動 <hypermobility> 症候群 】
 疼痛管理が重要であり、理学的療法や装具や心理的なサポートも重要である。
リウマチ性疾患と症状が類似することがあるが、リウマチ性疾患への治療、外科的治療は無効である。
【参考】  

難病情報センターホームページ 難治性疾患研究班情報(研究奨励分野)
過剰運動<hypermobility>症候群(平成23年度) 
http://www.nanbyou.or.jp/entry/2288  (2013/ 2/21アクセス)
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診療科と予後
 EDSの症状や経過についての情報は少しずつ集積しつつあります。
根本的な治療は研究段階ですが、おきやすい症状を知り、医療機関と連携をとって、丁寧に検診、治療を行っていくことが勧めます。

症状により、整形外科、循環器科、皮膚科などに複数の診療科・病院を受診することがあります。
そのため、お子様であれば小児科(総合病院の慢性疾患外来や小児病院の遺伝科外来)、成人の方であれば大学病院など総合病院の総合診療科や遺伝子診療部・遺伝診療科でコーディネートしてもらうとよいでしょう。
遺伝形式は、病型によって異なりますので、家族計画に関する相談は、個別に丁寧に対応する必要があります(それには、「遺伝カウンセリング」という診療サービスがあります)。

 得られる社会資源を活用しましょう。
お子様ですと、小児慢性特定疾患の申請ができます。成人の特定疾患(いわゆる難病)には指定されましたが、中々認定されにくい状況です。また、障害の程度により身体障害者手帳などの申請ができることがあります。

 この病気の認知度はまだ高いとはいえませんが、症状の予防や早期発見への努力、根本的治療への基礎的研究も、少しずつ進んでおります。
大切なことは、ご自身の体質の特徴をよく理解され、信頼できる医療機関と連携し、ともに学びながら、丁寧に検診、救急時の対応などの計画を立てていくことです。 
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