先ずは昨年秋に行ったアンケートにご協力頂きありがとうございました。
アンケートの集計結果より浮き彫りにされたを現状の問題点と今後の課題としてまとめ今回、
陳情してきました。また、関連の資料をUP致しましたので、ご参考にして下さい。
4/21 厚労省への陳情報告
日時: 2016年4月21日(木)13:15 ~ 14:45
場所: 厚生労働省 共用第5会議室(中央合同庁舎5号館1階)
参加者: 信州大/古庄先生、日本医科大/渡邉先生 JEFAより 代表、スタッフ1名
厚労省: 健康局難病対策課から5名 職業安定局から1名
要望1.指定難病に関する制度の明確化と周知の徹底、診断基準及び重症度分類の見直しを望みます。
【厚労省からの回答・説明内容】
指定難病申請に関して
- 指定難病制度の目的は、難病患者の経済的負担を軽減する目的のみでなく、症例を集積し疫学的観点もあるので、軽症例も集めていく。
- 制度内容の周知は、日本医師会などの関係機関や都道府県のポストなどに引き続き活動を行なっていく。
- 指定医、指定医療機関も各都道府県のインターネットで検索できる。厚生労働省のインターネットサイトでもリンクできる様にしていく。
- 難病申請に必要な診断書料を無料にするのは難しい。(年間100万枚提出)
- 患者本人にはメリットはないが、軽症者でも診断書提出してもらえるのが理想。今後は、提出されたものをデータベース化していく予定。ただし、診断基準に該当することが必要。
- 他の福祉医療を受けている患者の申請も都道府県に周知していく。
診断基準・重症度分類に関して
- 重症度分類については日常生活に支障を来すものを対象として、慢性疾患制作対策事業の病気別基盤研究分野の研究班に依頼作成しており、定期的に見直しも行なっている。
- EDSは、研究班(小崎先生がリーダー、古庄先生がEDS担当)が担当しており、そこで検討され、その内容に基づき、指定難病委員会にて最終検討・承認される。
- 診断基準・重症度分類は随時見直しを行う。今年度は、3/25に指定難病委員会にて診断基準・重症度分類の更新作業は終了している。来年度以降はまだ未定。
- 見直し内容については、研究班で検討し、指定難病委員会にあげていく必要がある。
- 研究班の役割:診断基準・重症度分類のアップデート・普及・啓発を行う。現場に還元して医療水準の向上を図る。
【JEFAの今後の対応】
- ・今回に厚労省の陳情にて、診断基準・重症度分類の見直しについて、具体的な内容に関する担当は研究班であり、変更要望などの働きかけは直接研究班に行うことが必要と明確になった。
- ・今後の対応として、EDSの担当研究班(代表 小崎先生)に、直接見直し要望をアプローチしていく。アプローチに当たっては、専門家と連携していく。
- ・指定難病の申請による情報収集は、厚労省のデータベース化や今後の研究利用の意義もあると理解するが、医療費助成を目的とした現行の申請制度では、軽症者や医療費負担の少ない患者の申請は見込めない。引き続き厚労省へ制度改善の働きかけを行っていく。
要望2.全国的な医療体制の早急な整備を望みます。
【厚労省からの回答・説明内容】
- 国としても取り組まなくてはいけない問題だと認識している。
- 国が主体となって医療の提供体制の整備、データベースの構築を進めていく。難病対策委員会の議論を通じて医療連携、拠点病院などを作り、全国くまなく難病に対する医療が提供できる体制を示していく。
- 今年度中はうまくいっているところからモデルケースとして、各都道府県に示していく。
- すべての難病に関して、すべての医師が知識を持つことは難しい。詳しい医師や病気に関してわかるように、難病情報センターのHPを有効活用できたらよい。
- 研究班による難病情報センターのHPへの情報提供と普及の促進が必要。
- 難病情報センターHPの管理は厚労省、運営は難病医学財団に委託している。
- 専門医の増加については、拠点病院の条件とすることも考えていく。ただし、なるべく診断は専門医、普段の診療はかかりつけ医としていきたい。普及・啓発活動に対して研究班にもその役割を担ってもらう。
【JEFAの今後の対応】
- 今のところ、患者として主体的に活動することは、特に考えられない。
- 国の取り組みである難病情報センターの活動や医療連携・拠点病院つくりに関して、問題点や改善点などあれば、随時厚労省にフィードバックして、改善要望していく。
- 病気に関する情報の普及や啓発活動が研究班の役割との説明を受けたが、研究班自身は、現状その認識はなく、体制的にも難しいとの意見を聞いている。
要望3.患者の生活環境・QOL向上への取り組みを望みます。
【厚労省からの回答・説明内容】
就労支援に関して
- 難病患者に対する就労支援に対しては必要性を認識している。
- 就労支援策として難病のある方を雇い入れる事業主様に対し、発達障害者・難治性疾患患者雇用開発助成金の支給や難病に関する専門的知識を有し様々な対応ができる難病患者就職サポーターをハローワークへ配置し、事業主に対して職場環境などに対する支援を実施しており、今後も支援に努める。
- 障害者手帳を持っていない難病患者に対しては平成25年3月に雇用政策審議会の雇用義務制度の趣旨・目的を唱える障害者手帳を有していない発達障害者・難病患者・その他障害者について、現時点で対応義務の対象とする事は難しいとされている。
- 雇用管理ノウハウの蓄積を今進めていく状態である。今は難病患者の対象範囲が明確にできていないので職業生活上の困難さを対する研究を進めており、研究が進めばいずれは対象となるかもしれない。
- 現在は難病だけでは対象範囲が想像し得ない。障害者手帳を持つまでに至らない人たちのどこまでを対象にするのかなどの線引きが難しい状態である。
- 今年の4月1日から障害者の雇用に関する法律の改正があって、雇用の分野で障害者に対する差別が禁止されている。手帳の有無に関わらず、身体・知的・精神だけではなくその他心身の状態が悪く、職業生活上に制限を受ける方へも対象になっている。診断書などを利用して、企業側と上手く折衝してほしい。企業側との問題解決が難しい場合には、労働局への相談により指導・監督に入る。その旨は厚労省のホームページで周知されている。
- 就職サポート員は、県に1~2人。どこに配置されているかは、ハローワークのホームページに掲載されている。
教育環境について
- 教育環境については、文科省がメインとなる。
- 厚生労働省としては、小児慢性特定疾病の児童の方々の自立性社会参加の支援を目的として、平成27年1月から各都道府県や指定都市の中核部において、小児慢性特定疾病児童等の自立支援事業を実施している。内容として、投薬が必要な児童・家族の方々の相談支援や自立支援配置、また学校側・企業側への相談対応・情報提供を行っている。始まったばかりなので、実際に行われている事例の収集により必要な助言や文科省との連携情報共有、小児慢性疾病対策に対する普及・啓発に努めていく。
相談支援に関して
- 難病患者が地域で安心して暮らしていけるように相談支援を行っていける拠点として、都道府県に難病相談支援センターにて相談を受け付けている。福祉サービスの各種公的手続きの支援などを行っているので活用して欲しい。
- 相談支援センターの運営は、あり方を国で示して県が独自で行っている。都道府県により対応の差や全国的な対応に関する難しさがあることは、受け止める。ただ、各都道府県の特色も大切になってくるので難しい面もある。
- 難病情報センターにてホームページなどを通じて、一般の方・医療従事者の方それぞれに向けて疾患の情報や各種制度の紹介を行っている。また、医療従事者を講師として関係する保険医療福祉サービスの職員などへの研修を行い、難病への理解を深めるよう活動している。
- 地域による情報格差については、情報センターも上手く活用して貰えば共通の情報は得られるはず。
- 支援センターの職員の知識の底上げを行う為にも職員の研修を行っている。
- 指定難病の中でも患者数の多少もある為、情報に差が出てくるのは仕方がない面もあるが、検索をして問い合わせ出来るような体制を作っていく。
患者会支援に関して
- 患者会へのサポートとして、地域住民の方との交流や医療関係者を交えた意見交換会なども出来るような体制にしている。県の支援センターなどで活用して欲しい。
- 患者会の活動とか患者会を作りたいなどを支援していく為に、難病患者サポート事業として、JPAが患者会のリーダーに対して患者会を立ち上げ設立に向けての研修などを行っている。
難病対策に対する行政の取り組みに関する情報発信について
- 行政の取り組み内容について、厚労省・難病情報センターのホームページでの発信を努力している。大きな患者会やJPAなども色々詳しいかと思う。
【JEFAの今後の対応】
- 今後、患者個々の経験などによる具体的な事例をもとに現行制度の問題点をフィードバックし、改善要望をしていく。
厚労省陳情関連資料
・1.陳情要望書
・2.要望補足説明
・3.診断基準・重症度分類見直し案
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